不屈の念仏者 親 鸞-7
2006年 04月 21日
親鸞が生きた時代には、宗教巨人・親鸞は誰からも知られる存在ではなかった。
正史やそれに類する歴史資料のどこにもその名前は記される事無く、親鸞は無名なままに生き、無名なままに死んだのです。
そのために、かっては親鸞の存在そのものに疑義が向けられたことすらあったという。
弟子たちによりさまざまに語り継がれていた親鸞の伝記が、近代史学の検証にさらされた結果、信用するに足る内容でないと斬って棄てられたためであった。
現代でこそ、親鸞の実在を疑う者はいないものの、依然としてその生涯の多くが謎に包まれたままであることにはかわりない。
そうなってしまった原因は、親鸞その人にある。
親鸞は膨大な著書を残したにも拘らず、みずからの生涯を殆ど語らなかった。
むしろ、みずからその足跡を消そうとした節すらある。
しかしながら、親鸞は他の誰もが到らなかった深部までおのれを掘り下げ、だれもやらなかった方法で思想を実践し、親鸞にしか言えない言葉を残した事が、宗教巨人たる理由である。